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フローラルアートスクール

堀合勝子

今回のスクール密着インタビューは、
フローラルアートスクールを主宰し、
NFD名誉本部講師でもある堀合 勝子さんに
お話を伺いました。

初めてフラワーデザインの世界を知ったきっかけは?

叔母が先生だったこともあり、10代の頃からずっと生け花を、それと弊行してアートフラワーもやっていました。
今はアートフラワーよりも精巧に作られたアーティフィシャルフラワーがたくさんありますけど、私がやっていた当時のアートフラワーは1から花を組み立てて作るものだったんですね。
ちょうどアートフラワーのコサージュが流行っていたので制作依頼も多かったのですが、せっかくご依頼いただいても自分にデザイン力がなかったんです(笑)。
それならば、デザイン力をつけるためにフレッシュフラワーを学ぼうと思いました。

そのフレッシュフラワーについて教えてください。

フレッシュフラワーでは、実際にある花を使って組んでいくので、花を作るという作業はありません。その点はとても楽ですね。
そのうちブーケ制作の依頼を受けることも増えてきたのですが、参考書も少なかったので、
外国の本を見たり、自分なりに勉強しながら見よう見まねで作ってたんですよね。そしたらだんだんと「もっときっちりしたものが作りたい!その方が依頼者にも喜ばれるかな」という思いが芽生えてきました。そんな思いと、フレッシュフラワーの生の力に魅了されて、アートフラワーよりもフレッシュフラワーに情熱をかけていくようになりました。
今思えば、それでよかったのかなと(笑)。

アートフラワーでは、花を一輪作るのにどれくらいの時間かかっていたのですか?

バラを1輪作るのに3時間かかっていました(苦笑)。色も自分で作るんですよ。
型紙を作ったり、染料をしてぼかしたり、コテを当てたりして組んでいくすっごく細かい作業なんです。まぁ、自分で花を染めていく作業は結構好きで楽しかったんですけどね(笑)
ちなみに、満足のいくブーケを作るには完成までに1か月くらいかかっていたので、依頼されてた方を結構お待たせしていたかもしれませんね(苦笑)。

堀合さんにとって、生け花とフラワーデザインの違いはなんですか?

生け花を習い始めた頃は、なんとなく展示会に出品したり、きめられた花材を使っておりましたが、フラワーデザインの場合は、
花材が豊富に使えておもしろいと思いました。現在はだいぶ変化してきましたが、私の習った頃の生け花は、「精神的」な意味合いがあり、主に床の間に飾るものでした。生け花は主に剣山を使用し、フラワーデザインはアクアフォームを使います。フラワーデザインは、使用範囲が広いと思います。たとえばギフトやブーケはだれかにプレゼントできる楽しみもあるし、冠婚葬祭にも使えて、生活に密着しているようなところが身近に感じます。
だだ、最近では生け花もフラワーデザイン化されてきていると思います。
というよりも、MIXされてきた感じでしょうか。それぞれの良さが融合してきたんだと思います。
フラワーデザインと生け花、違うところもありますが、それぞれを学ぶことで違った方向性を知ることができて面白いです。
又共通的なものもあると思います。

学校などでも指導されているようですが、心がけていることはありますか?

現在、専門学校やレッスンプロの方にも指導をさせていただいていますが、どなたにもまず基本をしっかりと伝えています。すでに基本を知っているレッスンプロの方でも、再確認してもらうつもりで聞いてもらっています。基礎的なことをしっかり伝えて、フラワーデザインの基本をとらえたうえで、表現は自由に。基本をとらえてこそ、自由な表現が生きてくると考えています。

若い方の作品を見て、アレンジメントの表現や発想におどろくことはありますか?

もちろん、あります(笑)!!若い人たちの作品には勢いがあって、私たちには無い良さがあります。まぁ時には「あ~惜しいなと思うことも。例えば、表現はとってもいいのだけれど、生け方によっては美しい状態が長時間保てないという時とかですね。
生花の場合、用途に応じてきれいな状態を維持する必要があります。ウェディングだったら数時間で瞬間的な最高の美しさを表現できたらいいのだけれど、展示会の場合は1日持たせないといけないこともあります。
展示会の会場によっては、暖房が利きすぎていたり、時には寒くて花が閉じてしまうなんてこともあります。作品はさまざまな条件を想定して、長時間でも耐えられるように作る必要があるんです。その時が最高の姿になるように。

開校するにあたって苦労したことはありますか?

以前私は、NFDを立ち上げたフラワーデザインの先駆者(故)笠原貞男先生主宰の教室で講師をしていました。
その笠原先生が引退されることになり、そのスクールを引き継ごうとも考えたのですが、個人的に自由にやりたいという気持ちも強かったので、自宅でスクールを開校することにしたんです。
遠い方もいらっしゃるのに、笠原先生の生徒さんが移ってこられたり、口コミでご近所の方も来てくださったり。
新規の生徒さんはNFDのサイトを見て来てくださった方も多かったんですよ。
あり難いことに本当に生徒さんには恵まれましたので、実はそんなに苦労をせず開校することができました(笑)。

開校されているフローラルアートスクールについて教えてください。

スクールとしては、アーティフィシャルフラワーや、プリザーブドフラワーもやっていますが、フレッシュフラワーを学ばれる方がとても多いですね。
初心者の方も、レッスンプロとして活躍されている方も、みなさん同じ部屋でレッスンをしています。
レッスンプロの方は、自分が生徒に教える時どう教えたらわかりやすいか。
初心者の方は、自分がいざ教える立場になったらということを学ぶことができ、
お互い刺激を受けるようです。
もちろん、レッスンを受けて終わりではなく、生徒さん同士の交流や、情報交換の場にもなるんですよね。
みんな同じ花材なのに十人十色の作品ができるので、他の人の作品も見れて勉強になりますし。
初心者の方は没頭してもくもくと作業されていますが、クリエイティブコースの方は、ある程度テーマを決めて「自分で表現をする楽しさを学んでいます。
お店を持った方もいるので、こちらに通っている生徒さんの作品をお店で販売したりもしているようですよ。「売れたわよ~!」なんて話も聞こえてきますから(笑)

ご考案された「フレームKスタイル(実用新案登録済み)」について教えてください。

フレームKスタイルとは、基本的にはフラワーデザインをふまえてやっているものですが、絵を描くような感じというか、風景を写すような気持ちで枠を使って自由に発想が出来るというデザインなんです。
枠自体は大中小の3種類で、小さい枠には台がついています。それに、後ろに紐が付いているので、壁に引っ掛けて飾ることもできるんですよ。ある程度上達していくと、サイズの違う枠を2個使ってみたり、季節を感じるような作品にしてみたり、和でも洋でも様々なテイストで表現することもできます。
それと、初めて作品を作る方は「何を基準にしていいのかわからないとおっしゃる方が多いので、実は、この枠があることによって作品構成の目安がつきやすくなり、生徒さんへのアドバイスが伝わりやすいというメリットも。
枠に花を入れることで花が生きてくるし、作品に雰囲気が出来るので、意外とさまになるんですよ。ちょっとした空間に置いてみると、なんとなく絵画のように見えてきませんか?(笑)

フレームKスタイルは、どういう時に生まれたのですか?

実は生徒さんの一言だったんです(笑)。
今、アレンジメントスクールがたくさんあるので、他と差別化を図るために「何か変わったものを考えてください~‼」と生徒さんから言われて(笑)。私はいつも生徒さん達から押されて動くといった感じなんですよ(笑)。
いろいろと考えてみた中で、「絵画のような雰囲気が表現できたらいいな~」なんて。
枠の中に入れてみようと思ったのはその時です。過去にも似たような作品を作ったことがあったので、もしかしたらこういうのもいいかもしれないって思ったのがきっかけですね。そこから「フレームKスタイル」が生まれました。

審査員としても活躍されておりますが、審査される時にどんな点に注目してますか?

NFDの資格試験の審査の場合は、決められた規定をチェックしていきます。
すごく素敵な作品であっても、許容範囲が大きすぎたり、寸法がはみ出てしまったら惜しいけど減点になります。また、色彩のとりかた、混ぜ合わせ方によってもやはり減点対象に。
フラワードリームなどのコンテストでは、その人の個性が「ぴかっ‼」と光る物を直観で見ていきます。今までにないもの、他をまねていないものなどですね。あとはテーマに合っているかどうか。
あとは、手が込んでいるものも気になりますね。シンプルに仕上げている作品もいい時はありますが、もし個性が光る作品が2つあって、最終的にどちらか選ばなければならない時は、やはり苦労している方を選びます。
まぁ、でもやっぱり直観が一番かな(笑)。
他には、夏場だったら涼しげで、冬場だったら温かみのある作品が目にとまりますね。
作品の色彩というのは、とても重要なものだと考えて審査しています。

光る物、個性のあるものは、見た瞬間すぐにわかるものですか?

実はすぐわかるものなんです(笑)。
直感的に「わぁ~いいなぁ」って思いますね。
審査をする時に最初にば~と1周作品を見て、2周目にいいものを10点くらい選んで、その中から最終的に順位をつけていきます。
直感的にいいと思った作品は、他の審査員の方も同じものを選んでいるものなんですよね。
まぁ、もちろん最後になると意見が割れてしまうことも多々ありますが、受賞するしないに関わらず、やはりきらっと光るものがある作品は見ていてとてもおもしろいんですよ(笑)。

これから先フラワーアレンジメント界がどのように進展してほしいですか?

そうですね…、私が八重洲スクールでレッスンをしていた時に、私たちがお花を活けているのを見て入会された方がいたんです。
その方は八重洲のレッスン日となかなか合わなかったこともあり、私の自宅スクールまで来てくれたこともあって。
最初は「すごくうれしそうにレッスンされているな~」という印象だけだったんですね。
それから3,4か月くらいして、その方が「本当は辞めたくないんだけれど、帰らなくちゃいけないくなったんです」と。この時、初めて被災したことを話してくださったんですね。
被災された多くの方は不安な気持ちを抱えたまま毎日を過ごされているようなんですが、その方は綺麗なお花に癒されて、すこしづつ心が穏やかになっていった心境を伝えてくださって…。私も「花って本当に心を癒すってことがあるんだな」って改めて再確認させられました。花一輪だけでも命がありますよね。花が心の支えになることもあるんです。
そういうことを、もっとたくさんの方に知ってほしいと思います。私もこれから、ただ教えていくのではなくて、みんながほっとするような感じにしていきたい、お花を通じて人が喜ぶことをやっていきたいと思っています。
フラワーアレンジメント全体が、そのような方向で進んでいくと嬉しいですね。

最後に、フラワーアレンジメントに興味を持たれている方にメッセージをお願いします。

興味を少しでも持っていただいているのでしたら、ぜひ1度チャレンジしてもらいたいと思います。花は癒し。
花に触れ合うことで、毎日の生活に潤いができます。1輪の花でもちょっとした空間に飾ることで、毎日の生活がワクワクしたとても楽しいものに(笑)。
花一輪でも心が動くことを知ってもらいたいなぁと思います。まずは、第一歩を踏み出してみてください!

ありがとうございました。

堀合さんインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。